荒川教授が2章を担当した書籍発売

2025年12月1日に、荒川教授が第2章を担当した書籍「デジタル×ヘルスリテラシー (AI・SNS時代の”新”健康情報力)」が発売されます。
2章では、急速に進化するデジタル技術が現代のヘルスケアにおいてどのように実装されているか、その現状と具体的なツール、そして将来の課題について包括的に解説しました。主な論点は以下の通りです。
1. 身近なデジタルツールの進化と活用
スマートフォンアプリやウェアラブルデバイス(スマートウォッチ、CGMなど)が普及し、歩数や睡眠だけでなく、心拍数や血糖値などの生体データを日常的に収集・統合可能になった現状を整理しました 。これらは単なる記録ツールを超え、個人の行動変容を促す重要な役割を果たしていますが、利用にあたっては自分に合ったアプリを選択するリテラシーが必要であることを指摘しています 。
2. 「治療するアプリ」の台頭(SaMDとDTx)
ソフトウェア自体が医療機器として診断や治療を担う「プログラム医療機器(SaMD)」や「デジタルセラピューティクス(DTx)」について解説しました 。日本でもニコチン依存症治療アプリなどが保険適用されており、24時間アクセス可能な個別化医療としての可能性と、普及に向けた課題(エビデンス構築やセキュリティ)について論じています
3. 生活環境とAIによるヘルスケアの拡張
住環境や職場そのものが健康をモニタリングする「スマートホーム」「スマートオフィス」の技術動向に加え、生成AI(大規模言語モデルなど)がもたらす変革について触れました 。生成AIは医療情報の翻訳や健康コーチングに有用ですが、ハルシネーション(誤情報)のリスクやバイアスを理解する「AIリテラシー」が新たに求められることを強調しています 。
4. デジタルヘルスリテラシーの再定義
技術の進歩に伴い、求められるリテラシーも変化しています。本章の結論として、単に健康情報を理解するだけでなく、デジタルツールを適切に選択・利用し、得られたデータやプライバシーを管理する能力を含めた「デジタルヘルスリテラシー」の概念を提唱しました 。
<2章の内容>
第2章 デジタル技術を活用したヘルスケアの今
1 はじめに――デジタル技術とヘルスケアの融合
2 ウェアラブルデバイスを活用した健康管理
2.1 ウェアラブルデバイスの種類と機能
2.2 日常的な健康管理への活用
2.3 ヘルスリテラシーとウェアラブルデバイス
2.4 医療現場との連携
3 ヘルスケアアプリの進化と利用者のリテラシー
3.1 ヘルスケアアプリの種類と特徴
3.2 ヘルスケアアプリとユーザーエンゲージメント
3.3 アプリ選択とリテラシーの重要性
3.4 ヘルスケアアプリの将来展望
4 SaMD(Software as a Medical Device)とDTx(Digital Therapeutics)の可能性
4.1 SaMDの定義と規制の枠組み
4.2 DTxの概念と特徴
4.3 日本におけるSaMDとDTxの展開
4.4 SaMDとDTxがもたらす医療の変革
4.5 今後の展望と課題
5 スマートホームとヘルスモニタリング環境
5.1 スマートホームにおける健康管理技術
5.2 スマートオフィスにおける健康支援
5.3 プライバシーと倫理的配慮
5.4 アクセシビリティと公平性
6 生成AIの活用と未来のヘルスケア
6.1 医療・健康情報の理解と提供
6.2 健康コーチングと行動変容支援
6.3 医療支援と診断補助
6.4 メンタルヘルスケア
6.5 生成AIとヘルスリテラシーの関係
6.6 倫理的・社会的課題
7 今後の展望と課題
7.1 技術進化の方向性
7.2 政策・制度面の課題
7.3 社会的受容と導入障壁
7.4 ヘルスリテラシーの再定義と教育
7.5 持続可能な医療システムに向けて
8 まとめ
デジタル×ヘルスリテラシー [AI・SNS時代の”新”健康情報力] Book Chapter In: 2025, ISBN: 4469280240.

