WISS 2024・参加報告(相浦)
学会情報
参加した学会名 | WISS 2024: 第32回インタラクティブシステムとソフトウェアに関するワークショップ |
開催場所 | 苗場プリンスホテル(新潟県) |
日程 | 2024/12/11-2024/12/13 |
報告者 | 相浦 航 |
発表概要
タイトル
スポーツにおける緊張感の再現に向けたHMDを用いた内受容感覚の誇張フィードバックに関する基礎検討
著者
相浦 航 (九州大学), 中山 陽 (九州大学), 山縣 俊亮 (株式会社アシックス), 阿部 悟 (株式会社アシックス), 福嶋 政期 (九州大学)
内容
スポーツにおける高い緊張状態によって発生する内受容感覚の一部をバーチャル空間で体験可能なコンテンツを作成した。具体的には、バスケットボールのフリースローやパス、積み木を積み上げるという3つの場面を再現し、緊張時の視野の変化や心拍変動を視聴覚のエフェクトとして表現した。
指摘内容
- 積み木というタスクを忘れて周りの人を見た時に緊張を感じた。
- 呼吸フェーズでの呼吸提示の間隔が速すぎて同期できなかった。
- コントローラーの振動などで緊張をより伝えることができそう。
など
体験記
【1日目】
開催地は新潟でした!東京から新幹線に乗って越後湯沢に行きました。
「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。」という、川端康成(著)の『雪国』の有名な一節のモデルとなった路線らしいです。その言葉の通り、トンネルを抜けるといきなり窓の外が雪景色に変わって、いよいよ新潟に着いたんだなと実感しました。
学会会場となった苗場プリンスホテルの目の前にはスキー場があったのですが、まだギリギリオフシーズンでした。
(左)越後湯沢駅 (右)会場となった苗場プリンスホテル
そしてWISS 2024が発表が始まりました!
参加者数は246名で、そのうち学生は140名でした。
登壇発表21件、国際学会招待発表4件、デモ発表135件、WISS Challenge6件ということで、過去最大規模となったそうです!
発表数がとても多いので、自分が特に面白いと思ったものを3つ紹介させていただきます!
Whisphone:ささやき声で入力できるイヤホン
イヤホンにマイクが付いていて、とても小さなささやき声で文章を入力できます!
体の内部から音を拾うので、風の音や、周りの話し声もカットできます。
さらに、マスクをつけていても問題ないです。
ParaSights:両眼視野闘争によって2つの環境と並行してインタラクションできる空間提示手法
VRアプリで、右目左目それぞれに別の景色を表示しています。
積み木のデモでは、90°ずれた視点を表示しており、右手は右目の景色に基づいて動かせ、左手は左手の景色に基づいて動かせます。
さらに、片目を閉じると、もう片方の目の景色に両手とも基づいて動かせます。
異なる視点から物を操作できるのが面白いなと思いました。
Opticuisine: 光学レンズ食品のための画像印刷手法
ゼリーをレンズ代わりにして、角度によって色が変わって見えるスイーツがありました。
1つ300円くらいで作れるそうです。周りがチョコで美味しかったです!
他にも、面白い発表がたくさんありました!
【2日目】
この日のデモ発表もとても面白かったです!
自分が特に面白いと思ったものを3つ紹介します!
TTTV4:一口ごとに味を提示する味覚のパーソナルメディア
LLMを使って入力した内容をもとに味を変化させる調味料を出すスプーンです。自分は実際に牛乳がクラムチャウダーに変わるのを体験したのですが、想像以上にクラムチャウダーでびっくりしました!
E-String Figures: 導電繊維編み込み紐を用いたあやとり技認識システム
あやとりのヒモに電流を流し、電気の流れ方のパターンによって技を判別するというものです。発表者の方のあやとり愛を感じました!ちなみに最優秀発表賞でした!
イヤホン型BCIにおけるオノマトペを用いた脳波制御訓練手法
イヤホン型の脳波測定器で、念じるだけで炎の魔法を出せるデモです。イヤホン型なので、精度はそこまで高くはありませんが、確かに念じた時に魔法が出て面白かったです!
この日も、面白い発表がたくさんありました!
さらに、WISSは今回で30周年ということで、特別公演がありました!
特別公演では、スマホのフリック入力の生みの親である増井俊之さん、世界初のマーカー型ARシステムを発明した暦本純一さん、HCIの様々なシステムを開発した小池英樹さんの公演がありました。WISSでは、1994年にARのようなシステムをすでに発表していたそうです!当時の最先端を生み出しているのがとてもすごいなと感じました!
そしてナイトセッションでは、なんと増井さんと小池さんに質問させていただきました!
Q. 増井さんは、どのようなときにアイデアを思いつきますか?
A. ずっと頭のバックグラウンドで考えていて、寝るときに思いつきます。
Q. 小池さんは、特別公演の中で「モーションキャプチャーの民主化をする」とおっしゃっていたと思うのですが、モーションキャプチャーの民主化によってどのような未来がやってくるとお考えですか?
A. 現状では、プロのスポーツ選手といった限られた人しかモーションキャプチャーを使った特別なトレーニングができないという問題があり、それを一般の人でも手軽にできるようにしたいと考えています。
貴重なお話をありがとうございました!
【3日目】
この日は自分がデモ発表をする日でした!
ステージでの発表は25秒ほどでしたが、結構緊張しました。
デモブースでは、約15名の方に自分たちのVRコンテンツを体験していただきました!
まったく緊張しない方もいれば、すごく緊張する方もいて、人によって様々だなと感じました。
そして10名の方にアンケートを答えていただき、貴重なご意見をいただくことができました。
最後に
WISS 2024に参加したことで、たくさんの面白い発表を見たり、体験したりすることができました!そして、自分たちのVRコンテンツを他の方に実際に体験してもらうことができ、様々なフィードバックを得ることができました!
プロジェクトを通して一緒にサーベイやプロダクト開発をしてくれた中山くん、たくさんのご意見やフィードバックをくださった山縣さん、阿部さん、小坂さん、福嶋先生、本当にありがとうございました!
この貴重な経験をもとにさらに研究を続けて、より良いコンテンツを制作していきたいと思います!