PT2023 BCSS 参加報告(大園)
学会情報
参加した学会名 | PT2023 BCSS Workshop |
開催場所 | Eindhoven, The Netherlands(City, Country) |
日程 | 2023/4/19-2023/4/21 |
報告者 | Sana Ozono |
会議概要
こんにちは!今年の4月より修士課程に進学しました,大園です.今回は,2023/4/19-4/21にオランダで開催されたPersuasive Technology 2023(以下PT)のワークショップであるBCSS Workshop(以下BCSS)で,初の国際会議での発表を行ってきました!
私は初日に開催されたワークショップである,BCSSにて発表を行いました.PTは介入・行動変容学に関する国際会議です.行動変容学を扱う代表的な国際会議の一つとして2010年から開催されており,今回で18回目,BCSS は今年で11回目となりました.形式はオンラインと現地参加のハイブリッドで行われ,現地にはワークショップには30人ほど,本会議には一番多い日で50人ほどが参加していました.女性が参加者全体の6割ほどを占めており,女性研究者による発表や活発な質疑応答が印象的でした.ワークショップでも本会議でも質疑応答が非常に活発に行われており,特に被験者の性別の違いによる結果の差を評価する視点が多く,トレンドとしてどのような評価方法や分析方法があるのかに触れられる機会となりました.全体として,ナッジを用いた介入手法よりも,システムを使った説得や,そのデザイン評価を行っている研究が多い印象を受けました.
本会議への論文の採択率は今年度は38.24%で,提出された68本の論文のうち,26本が採択されました.うち24本がフルペーパー,2本がショートペーパーで,25カ国中14の国の論文が採択されました.提出数・採択数ともに,オランダ,北米,オーストリア,そして日本の数が上位を占めていました.
発表概要
タイトル
Can a Nudge Induce Garbage Disposal Behavior? Inducement of Prosocial Behavior
内容
今回発表した論文のタイトルは"Can a Nudge Induce Garbage Disposal Behavior? Inducement of Prosocial Behavior"でした.他社への親切行動である向社会的行動を促進するため,研究室内のゴミ箱の溜まり具合をカラーライトで可視化し,研究室のより多くの人によるゴミ出し行動を促進するためのシステムの提案・評価を行いました.
発表は15分間の発表後,10分間の質疑応答を行うタイムテーブルでした.発表資料はQ&Aセッションに備えてsupporting を充実させ,全体として図や構成がわかりやすいスライド作りを心掛けて準備しました.
発表順は朝10時半ごろ,ワークショップの第2セクションの初めで,アイントホーフェンに到着したのは発表の30分前笑 着いてすぐに発表ということもあり,到着前は緊張しましたが,発表には落ち着いて臨みました.
発表前は,司会の方が冗談を交えつつ私の発表内容を紹介してくれました.発表中は司会の方の説明にも少し言及しつつ,スムーズに発表できたと思います.
質疑応答
Q&Aセッションでは6名もの方に質問を頂きました.発表中の単語の使い方としてよりわかりやすい英語の表現をアドバイス頂いたり,介入方法の分類やシステムの改善案について質疑を頂き,活発な議論を行うことが出来ました.
体験記
アイントホーフェンはオランダで人口5位の街で、都市圏の人口は70万人に達します.1891年にこの街にPhilipsが創業したことにより,関連企業と共に発展してきたことで有名です.Philips本社の他に,Philipsの歴史に触れられるPhilips博物館やファン・アッベ美術館などがあり,美しくデザインされた建物や美術展示品が街のあちらこちらに見られる「デザインシティ」となっています.
本会議の最終日前日にはディナーが振る舞われました.日本やフランスを含む5カ国をテーマにしたディナーコースと,各プレートに合うペアリングワインが提供され,どれも本当に美味しかったです.また相席させて頂いた方々と楽しく交流でき,素敵な夜を過ごすことが出来ました.
まとめ
今回初めて国際会議に参加して最も強く印象に残ったことは,発表一つ一つに対する聴講者の質疑応答の活発さと,参加者の女性の多さです.質疑応答に関しては,国際学会と聞くと英語という言語の壁に対する怖さを感じる方も少なくないかもしれませんが,言語力は伝えたいこと,議論したいことがあれば自然とついてくるものなのではないかと思います.本学会への参加を通して,研究発表を聞く機会での質疑応答に対する意欲をより積極的に持ちたいと感じましたし,もっと多く国際的な場で発表や交流,研究を行える場に身を置き,より主体的に議論を行える研究者になりたいと思いました.言語の壁を恐れず海外に飛び込む姿勢を持てると,より豊かな視点を持てるきっかけが増えるのではないかと思います.